「人見るもよし、人見ざるもよし、我は咲くなり」

春の花が咲き始めた。福寿草、雪割草、マンサク…。命いっぱい咲かせていつ見ても新鮮で美しく咲き誇っている。そして、花を終えても、また新たな命を咲かせてくれる。人間の私たちは、たった一回限りの人生。一年ごとに成長はできても、花のように美しく咲いて美しく歩める人生ではない。七転び八起きしながら苦しくてもどうにか歩んでいる人生もあれば順風満帆の人生でも美しく咲き切ったとは言えない人生もある。そんな中で人に踏まれても力強く起き上がって歩んでいる人を見ると、なぜか美しく見える。何よりも一生懸命生き切るために精進している人は誰もが美しく見えるはずだ。特に、世のため人のためにライフワークを持って生きている人はより一層美しく見える。年度が変わって若い人は、また新たな人生を歩もうと情熱を燃やすことだろう。その姿勢が美しく見えないはずはない。下り坂の人生に入った住職の私は、念仏は無碍の一道と、不変の歩みを始めているが、共に聞法を重ね、共に歩む同朋がいる限り、その仲間はみんな美しく輝く人生を歩んでいると確信したい。花の心を詠んだ武者小路実篤の「人見るもよし、人見ざるもよし、我は咲くなり」を胸に刻み直そうと思う。